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田舎在住マンガ家艶々の日常など
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Posted by sitomi - 2015.07.16,Thu
あしたのジョーに憧れて」という漫画が少し前に発売した。
僕の漫画のはじめてのお師匠さん、川三番地先生がちばてつや先生のところでアシスタントをやられていた時代の、伝記物のような漫画だ。

ちなみにお師匠とは言いつつ、僕は川先生のところでわりと早くケツを捲って早々に逃げ出すようにやめてしまった半端モノだ。
完全に言い訳だけど当時川先生の職場には自衛隊あがりの鬼軍曹のようなチーフがいて、これがもう、見た目もさることながらミスをすれば鉄拳制裁当たり前、酔うと暴れるといった類の、本当に鬼のようにキツイ人で、その人と折り合いが悪かったことが早々にケツを捲った原因でもあった。

とはいえそのチーフも含め(仕事は本当にすばらく出来る人だったのですよ)、川先生の仕事場ではかなり色んなことを教わった。
ペンや定規の使い方は言うに及ばず、パースやちょっとした絵描く上での"らしさ"の演出などなど。そしてなによりそういった様々なものを習得するためには、結局数をこなすしかないという、至極当たり前のことを1年足らずとはいえ身体にたたき込まれた。

先生の「あしたのジョーに憧れて」はそれらを教えてくれた先生の、さらにそのルーツであるちば先生の仕事場の話だけに、読んでいると自分が教わったことのいくつかがやはりそこにはちりばめられていて、ずいぶん懐かしくも熱い想いに浸ることが出来た。


川先生の仕事場を逃げるように離れて十数年後、当時のうちのスタッフを一人連れて、西武池袋線沿線にある川先生の仕事場を訪れたことがある。
事前に電話はしたものの、最後にずいぶんといい加減な辞め方をしたのできついことを言われるか、そうでなければ冷たい言葉をかけられても仕方ないと思っていた。いや、そもそもその時はそういうことを謝るというか、けじめをつけようという意味で行こうと思ったのだ。
しかし想像に反して先生は優しく出迎えてくれて、その後、現在はスタッフを数名とはいえ社員として抱えてていることを伝えると「お前も自分の城を作ったんだなあ」とニコニコと笑っていてくれたのを覚えている。泣きそうに嬉しかった。というか泣いていた気がする。

二十数年前、川先生の仕事場へは専門学校での同級生と三人でいっしょに入った。僕が辞めたあとも残り二人は数年勤め続けた。しかしその後一人は亡くなり、もう一人は退職した直後に失踪し、消息不明。チーフもアシスタントを辞めた後、事業を興したとらしいがそれきりとのこと。
みんないなくなってしまって、一番アシスタントとしてだめだった僕と、なにより先生は今でも現役で漫画をゴリゴリ描いている。人生なんてわかんないもんだなと思う。
そんな話をしたとき、先生が「やっぱり悪人ばかりが生き残るんだよな。オレとかお前とか」と笑いながら言っていたのがすいぶん頭に残っている。




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